2025年5月5日月曜日

NatronのACESの設定方法

 無料版Nukeとも呼ばれるオープンソースソフト、Natronの導入とACEScgでレンダーした画像の確認方法の紹介です。

まずはインストール

NATRON

こちらからソフトをダウンロードしてください。

解凍するとWindowsの場合Setup.exeが入っているのでそれでインストールします。


ACESのConfigを手に入れる

今回は1.2をダウンロードして使います。

任意のバージョン、プロジェクトで使っているものでも大丈夫です。

https://github.com/colour-science/OpenColorIO-Configs/releases/tag/v1.2

ダウンロードしてこちらも解凍します。

aces_1.2というフォルダをそのまま

C:\Program Files\Natron\Resources\OpenColorIO-Configs

ここに入れます。


Natronの設定

Natronを起動したらカラーマネージメントの設定をしましょう。

Edit → Preferences

ColorManagementのタブで

Open ColorIO Configurationをace_1.2に変更します。

ACEScgでレンダーしたexrのファイルを読み込んで

ビューワーの上のほうにあるViewew color processをLinear(None)にします。

読み込んだexrのreadノードのOutput ColorspaceをOutput/Output - sRGBに変更します。

これで見た目の設定は完了です。


NatronとArnoldの比較

NatronとArnold Render Viewの見た目を比較してみます。

左がNatron、右はArnoldです。

結果がしっかり一致しているのではないでしょうか。

アセットのルックデブの際の確認にNukeがあると非常に便利なのですが、

なかなかアセットチームまでNukeのライセンスが行き届かないのが現実だったりします。

そういう場合に無料で使えるNatronが便利だったりします。

次のNatron記事でBeautyの構築などについて触れたいと思います。


参考資料

https://discuss.pixls.us/t/using-aces-in-natron/16625




2025年3月19日水曜日

PBR基礎 PBRとは?

もはやCGのレンダリングであたりまえのように聞くようになったPBRについての導入記事です。

PBRとは?

Physically Based Renderingの略です。

日本語だと物理ベースレンダリングなんて呼ばれています。

Physically Based Lighting、Physically Based Shadingと呼ばれることもあります。

物理的なルールに基づいて質感を再現するレンダリング技術です。


PBRの特徴

現実的な質感表現

光の反射や吸収を正確にシミュレーションすることで、リアルな質感を表現できます。

一貫した見た目

異なるライティング環境でも、マテリアルの見た目が大きく変化しにくいです。また、異なるアーティスト間においても一貫性のあるアセットを作成可能になります。

物理法則に基づいた設計

エネルギー保存の法則など、実世界の光の振る舞いに沿ったシェーディングを採用されています。


PBRの基礎概念

エネルギー保存の法則

光を受けて物体が返す光量が入射してくる光より増えることがないように調整されます。

フレネル効果

物体の表面角度によって反射の強さが変わる現象。

例えば、水たまりを真上から見ると透けて見えるが、斜めから見ると鏡のように反射する現象を指します。

マイクロファセット理論

表面が微細な凹凸で構成されていると仮定し、それが光の散乱に影響を与えます。

スムースな表面ほど光を均一に反射し、荒い表面ほど光を拡散します。

Roughnessのことを指すという認識でよいと思います。


この3つが大まかな主軸になります。

それぞれの深堀は別記事でする予定です。


今回はここまでです。

もっと知りたいという方はそれぞれの深堀記事をお待ちください。


関連記事

[PBR]pbrマテリアルのSpecularRoughness初級編


2025年3月7日金曜日

[Arnold][Maya]TX Managerのエラー回避方法

 MayaのTX Managerが最近のバージョンでエラーを吐き機能しないことがありました。

職場環境だとすごい人がどうにかしてくれるのですが、家でとても不便!ということで調べてみたら解決策をやっと見つけたのでメモがてら記事にします。

エラー内容

[mtoa.tx] 0: E:\lib\substanceMaterial\substanceSource\kimono\kimono_Base_Color.tif could not be updated

と出て、.txが作られない。

更に時々エラー吐いてそのままMayaが落ちることがある。

エラー回避方法



TxManagerのTx Optons欄のDefault Options(auto tx)

のチェックを外すとエラー無くtxファイルを作成できます。


解決方法

上記の方法だと根本解決には至りませんね。

どうやらMayaのColor ManagementのOCIOがデフォルトの

<MAYA_RESOURCES>/OCIO-configs/Maya2022-default/config.ocio

だとエラーを起こすようです。

↓この状態


デフォでも必要最低限使えるから業務で求められなければ変えなくていいやって思ってたけど、こちらもちゃんと設定しないといけないなと思いました。



2025年2月28日金曜日

[Tips][Zbrush]ZbrushからVector Displacementを書き出す方法

 今回はZbrushからVector Displacementを書き出す方法を紹介します。

こんな感じのレンダリングができるマップを書き出しますよ!


Zbrushの設定

Map書き出しのために先にZbrushの設定を確認します。

Preference

>Import Export

>>Vector Displacement

>>>Flip And Switch1

>>>Tangent Flip And Switch25

次にmulti map exporterの設定を確認します。


Vector Displacementの欄、基本全部Onにしています。

設定が完了したらCreate All Mapsで書き出しします。



これで書き出すとこんな感じのマップが書き出されます!

おまけ

過去に自分が作成したZbrushからのマップ書き出しからMaya、Arnoldレンダリングまでの動画があります。


アサイン方法は別記事でアップ予定ですが、先に知りたい方などはこちらの動画をご覧ください~

※動画でFlip And Switch,Tangent Flip And Switchの数値を11,11で紹介していますが、少し古い知識です。

最近はこの記事で紹介しているようも1,25を推奨しています。

一応概要欄にも書いてますが、動画を修正する気力がなくてそのままです。すみません。。

関連記事



2025年2月19日水曜日

VectorDisplacementとは

今回はVector Displacementについて紹介していきます。

板ポリからこんな感じで形状を起こせるものになってます!

それでは見ていきましょう。

VectorDisplacementとは?

モノクロのDisplacement Mapは法線方向への頂点移動で形状を変化させますが、VectorDisplacementは法線方向以外にも頂点を移動させることができます。

実際にマップを作成してレンダーしてみましょう。

Zbrushで作ったモデルがこちら

この形状をDisplacementで再現します。



板ポリを準備してArnoldでレンダリングするとこんな感じです。

当然平坦です。

これにZbrushで書き出したVector Displacementをアサインすると

こうなります!

形状が再現できていますね!

ちなみに通常のDisplacementも書き出してみると

こんな感じになります。

アーチがつぶれちゃってるのがわかるかと思います。

これがDisplacementとVector Displacementの違いです。

Mapの見た目


左がVector Displacement Map、右がDisplacement Mapです。

Vectorは3軸あるので、RGBの3チャンネル持ったマップになります。

ちなみにこのVector Displacement MapはTangent Spaceです。

Vector Spaceについては次で説明します。


Vector DisplacementのVector Space


Vector DispalcementにはVector Spaceというものがあります。

これはどの座標系を基準にVector Displacementを適用するかを定義するものです。

MayaのDisplacement Shaderだとここにあります。


Vector Spaceは3種類あります。

Tangent Space

アニメーションされたキャラなどに適用するのに最適なものです。

業務ではこれしか使ったことがありません。

Object Space

動かないものに適用することができるものです。

アニメーションには向きません。

World Space

シーン全体のワールド座標を基準として適用します。

特殊な表現をする場合に使えるかも?


Tangent以外は使用したことがないのですが、基本的にTangentにすれば普通のテクスチャと同じように扱えるので管理もしやすいと思います。


プロダクションモデルの注意点

Vector Displacementの形状再現度の高さはわかっていただけたかと思います。

しかし、業務では大きな形状変化はほとんど使わないと思います。

アニメーションモデルから形状が大きく変わると、アニメーションがOKになってライティングして、レンダリングしてみると思わぬめり込み、エラーが発生することがあります。

Vector Displacementを使うとしても、通常のDisplacementを使うとしても、アニメーションモデルからシルエットが大きく変わらないように作成するべきと考えてます。

なるだけ大きい形状はポリゴンで作成して、細かい形状(鱗、皮膚のシワなど)の再現に使うといいでしょう。

ZBrushからの書き出し方は別記事で紹介します!

関連記事

[Arnold][チュートリアル]SSS「デジタルエミリーにスキンシェーダーを設定してレンダーしてみる編」